「株式会社」という言葉は、日本の企業形態を指す基本的な用語ですが、実際の読み方に迷う人が多いのも現実です。
多くの場合、企業名にはフリガナが記載されておらず、「カブシキガイシャ」か「カブシキカイシャ」か、どちらの読み方が一般的なのかがはっきりしません。
この記事では、「株式会社」の正しい発音について詳しく解説します。
「株式会社」の普遍的な読み方
「株式会社」という用語には「カブシキガイシャ」と「カブシキカイシャ」の2つの発音があります。
どちらの発音も正しく、広く認識されていますが、日常的には「カブシキガイシャ」の方がよく使われています。
辞書での表記
「カブシキガイシャ」と「カブシキカイシャ」は、日本国語大辞典を含む様々な辞書に正しい読み方として掲載されています。
特に広辞苑や精選版日本国語大辞典では、「カブシキガイシャ」を主要な表記として取り上げており、一般にもこの表記が広く認識されています。
法人登記におけるフリガナのデータ
2018年3月12日以降、商業登記や法人登記を行う際には、法人名のフリガナを申請書に正確に記入することが必須とされています。
実際の登記データを見ると、「カブシキガイシャ」の表記が多く見られます。
国税庁の法人番号公表サイトでの調査でも、「カブシキガイシャ」の登録が全体の約80%を占めていることが明らかになっています。
このことから、「カブシキガイシャ」の表記が現在ではより一般的であると言えます。
登記時のフリガナの規定
法人登記時のフリガナ入力には厳格なルールが設けられており、法人名は全てカタカナで表記し、特殊記号の使用を避けるよう求められています。
例えば、「&」は「アンド」、「.」は「ドット」としてカタカナで書き換えます。
フリガナ入力について不安がある場合は、法務省や司法書士などの専門家に相談することが推奨されます。
なお、「株式会社」の部分は通常フリガナ入力時には省略されることが多く、会社名のカタカナ表記は各企業によって異なります。
「カブシキガイシャ」という読み方が一般的になった理由
「カブシキガイシャ」という読み方が広く受け入れられている背景には、「連濁」という日本語の音韻現象が深く関わっています。
連濁は、複数の語が組み合わさるときに、後ろの語の最初の音が濁る現象です。
例えば、「株式」と「会社」が結びつくと、「カブシキカイシャ」が「カブシキガイシャ」に変わることが一般的です。
これは、「わさび」と「しょうゆ」が合わさって「わさびじょうゆ」となるのと同じ原理です。
さらに、例えば「焼き魚(やきざかな)」のように、複合語が形成される過程で後ろの語の音が濁ることは一般的です。
特にカ行、サ行、タ行、ハ行の語頭が濁音に変わることが多く見られます。
ただし、漢語や外来語など、語源が異なる言葉や、言語の構造が特殊な場合には連濁が生じないこともあります。
また、歴史的な経緯や方言によって、同じ漢字の組み合わせでも連濁が起こらない例外もあることが知られています。
「株式会社」のローマ字表記と略称「KK」に関する考察
ローマ字による表記方法
日本の法令を英訳する際、法務省のデータベースでは株式会社を「Kabushiki-kaisha(かぶしきかいしゃ)」とローマ字で表記します。
一方で、日常的な発音は「かぶしきがいしゃ」となっており、多くの文書では「Kabushiki Kaisha」と連濁を省略した形で表記されることが普通です。
「KK」という略称の利用
「○○KK」という形で株式会社を略称として表す方法もあります。
これは特に、海外企業が日本に設けた法人を示す際に使われることがあり、「Kabushiki Kaisha」の頭文字を取ったものです。
一方、「KG(Kabushiki Gaisha)」という略称はほとんど使われていないのが現状です。
二つの読み方の背景
「カブシキガイシャ」と「カブシキカイシャ」の両方の読み方が正しく、どちらも適切ですが、連濁の影響で「カブシキガイシャ」の使用が一般的に多く見られます。
ローマ字表記においては、一般的に「Kabushiki Kaisha」または「Kabushiki-kaisha」とされることが多いです。
まとめ
「株式会社」という語の正しい読み方には「カブシキガイシャ」と「カブシキカイシャ」がありますが、日常的には「カブシキガイシャ」が広く用いられています。
これは、連濁現象が影響しており、複合語が形成される過程で後続の単語が濁音に変わることが一因です。
また、企業登記においても「カブシキガイシャ」の方が多く使用されており、実用的な側面から見るとこの読み方が主流となっています。