プロ野球界ではフリーエージェント(FA)制度が整備されており、特定の条件を満たす選手はこの制度を活用できます。
この制度には国内FAと国際FAの2種類があり、国内FA権を持つ選手は日本の球団と、国際FA権を持つ選手は海外の球団と契約交渉が可能です。
選手はFA権を行使し、現在のチームに留まるか、あるいは新しいチームへ移籍するかを選択できるため、キャリアにとって非常に重要な岐路となります。
他球団への移籍を選択する場合、現チームを離れることになりますが、その選択により現在の球団がより良い条件を提示して選手を引き留めようとすることもあります。
ここでは、FA宣言を行った後の選手に開かれる様々な道を詳しく見ていきましょう。
FA宣言後の選手の進路について
FA宣言をした選手は多様な選択肢を迎えます。
一部の選手は現在のチームに残ることを選び、他の選手は新しい挑戦として異なるチームへの移籍を選択することもあります。
特に国際FA権を持つ選手の場合は、メジャーリーグへの挑戦も可能です。
FA権の獲得には、長い間一軍での登録日数が一定基準を満たす必要があり、これまでの選手の努力と実績が評価される瞬間でもあります。
ただし、FAという選択が必ずしもすべての選手にとって成功を意味するわけではなく、重大な決断となり得ます。
どのような選択肢が存在するのかを具体的に解説していきます。
現在の球団に残る選択
フリーエージェント(FA)宣言をした選手が現在の球団に残る選択肢を取ることもあります。
FA宣言を通じて、選手は自分の市場価値や他球団からの評価(年俸などで判断可能)を知る機会が得られます。
一部の選手は、他球団の評価を探るためだけにFA宣言を行うこともありますが、他球団の提案を聞いた後、最終的には現在の球団に残留することを選ぶこともあります。
これには、現在の球団がより良い条件を提示してくれることも含まれます。
ただし、この選択肢を取るには現在の球団の同意が必要であり、場合によってはFA宣言が契約終了と見なされることもあります。
近年はFA宣言後に残留を許容する球団が増えていますが、そうでない場合には、FA宣言と同時に移籍が決定的となることがあります。
しかし、球団が選手を失いたくない場合には、残留を認めることもあります。
その場合、選手は最終的に現球団に残ることを選び、FA宣言後も移籍せずに残留することができます。
FA宣言後に残留を選んだ場合、改善された契約条件が提示される可能性が高まります。
他球団が魅力的な条件を提示するため、現球団もそれに応じて条件を改善しなければ選手が残留する確率が低くなります。
宣言して残留した場合、一度FA権を行使したと見なされ、次にFA権を得るまで新たにFA宣言はできなくなります。
「宣言残留」のケース
FA権を獲得したプレイヤーの中には、移籍する意思がないにも関わらず、あえてFA宣言を行い現球団に残るケースも存在します。
これを「宣言残留」と呼びます。
FA権を取得してもそれを使わずに現球団に残り続けることもできますが、この方法を選ぶと、ファンや球団側にいつでも移籍する可能性があるという不安を与えてしまうことがあります。
そこで、「このチーム以外には行かない」と決心した選手は、FA宣言後すぐに「この球団に留まります」と表明することで、FA権を事実上放棄する形で残留を選ぶことがあります。
これにより、ファンや球団に安心感を提供し、「移籍を考えていない」と公言するプレイヤーが選ぶ方法です。
他球団への移籍を選択
フリーエージェント(FA)宣言後に他の球団へ移籍することは、選手にとって一つの一般的な選択肢となっています。
選手や代理人は複数の球団と交渉を行い、最終的には選手自身が新しい移籍先を決定します。
通常、新たな球団は以前の所属球団よりも良い条件を提供することが多く、選手は契約の条件の良さだけでなく、プレイしたい選手やチームの本拠地となる地域なども考慮して移籍先を選びます。
FA宣言をした選手が最高額を提示する球団に必ずしも移籍するとは限らず、多くの要因が影響します。
移籍が決まれば、次のシーズンからは新しい球団の一員としてプレイし、元の球団を去ることになります。
海外球団への移籍
国内FA権を持つ選手は国内の球団への移籍が基本となりますが、海外FA権を獲得している選手は国内外の球団へ移籍する選択肢が開かれます。
この権利を利用してメジャーリーグへの挑戦が可能となり、「メジャーリーグ挑戦」という新たなキャリアの道が開けるわけです。
しかし、海外FA権を持つ選手全員がメジャーリーグに移籍するわけではなく、国内の別の球団に移籍することもあります。
この権利は選手にとってさまざまなキャリアパスを可能にします。
契約未成立のリスク
フリーエージェント(FA)宣言後に最悪の状況として、どの球団からもオファーを受けず、さらに元の球団も残留を許可しない場合、所属球団を失いプロ野球界から事実上外れることもあります。
このように契約が成立しない場合、選手は引退を選択するか、NPB以外の独立リーグでプレイすることを検討することになります。
どの選択をしても、以前の収入に比べて大幅に減少することが予想されるため、「FA宣言の失敗」とも呼べます。
FA宣言の様々な結果
選手がFA宣言を行うと、次のいずれかの状況が発生する可能性があります。
1. 元の球団に残る。
2. 別の国内球団へ移籍する。
3. 海外球団へ移籍する。
4. 契約が成立せず、事実上の戦力外となる。
契約が成立しないケースは少ないですが、どの選択も選手のキャリアにとって重大な影響を与えるため、慎重に判断する必要があります。